定数買い付けと定額買い付け
私は米国株ETFの定期買い付けを利用していますが一般的に定期買い付けには決まった日付や曜日に指定した口数を購入できる定数買付と
指定した金額までの口数を購入できる定額買付があります。
世の中で一般的に積み立て投資で用いられる買い付け方法は定額買い付けが多いでしょう。
定額買い付けでは価格が高い時は少ない口数を購入して投資額を抑え、
価格が低い時は同じ投資額でより多くの口数を購入することができるのでドルコスト平均法を実践できます。
定期買い付けを利用するなら定額買い付けで投資を行いたいところですが
残念ながらETFの一口の単価はそれなりにお高いこともあり定額買い付けをしようと思うと結構難しいのです。
NASDAQ100 ETFのQQQは価格が300ドル付近ですし全米株式ETFのVTIの価格は200ドル付近といった具合で
例えば毎月5万円の予算(現在のレートで370ドル)で積立投資をしようと思うと買えるのは精々1口なので
定額買い付けをしても上手く機能せずに事実上は定数買い付けになってしまうこともあるでしょう。
また、もっと予算があったとしても色々な銘柄を定期買い付けしていると
単価の高いETFはどうしても1口になってしまうこともあります。
VTIを例に過去の相場で定数買い付けと定額買い付けした場合を比較してみる
実際のところどのくらい定数買い付けと定額買い付けで差が出るのか自分も買っている全米株式ETFのVTIを例に簡単に試算してみました。
コロナショックの少し前の2020年1月から2022年6月までの毎月初旬に定期買い付けした場合を想定します。
株価は以下の通りコロナショックとコロナバブルで下がったり上がったり良い感じに動いている期間です。
ドルコスト平均法の定額買い付けが有利そうですが結果は果たして?
(TradingView提供のチャート)
定数買付 | 定額買付 | 定数買付-定額買付 | ||||||
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VTI価格 | 購入口数 | 積立損益($) | 積立損益(%) | 購入口数 | 積立損益($) | 積立損益(%) | 積立損益($) | |
2020年1月 | 164 | 1 | 0 | 0.0 | 1.00 | 0 | 0.0 | 0 |
2020年2月 | 169 | 1 | 5 | 1.5 | 0.97 | 5 | 1.5 | 0 |
2020年3月 | 151 | 1 | -31 | -6.4 | 1.09 | -30 | -6.2 | -1 |
2020年4月 | 123 | 1 | -115 | -18.9 | 1.33 | -116 | -17.7 | 1 |
2020年5月 | 142 | 1 | -39 | -5.2 | 1.15 | -33 | -4.0 | -6 |
2020年6月 | 162 | 1 | 61 | 6.7 | 1.01 | 78 | 8.0 | -17 |
2020年7月 | 158 | 1 | 37 | 3.5 | 1.04 | 52 | 4.5 | -15 |
2020年8月 | 170 | 1 | 121 | 9.8 | 0.96 | 143 | 10.9 | -22 |
2020年9月 | 173 | 1 | 145 | 10.3 | 0.95 | 169 | 11.4 | -24 |
2020年10月 | 170 | 1 | 118 | 7.5 | 0.96 | 140 | 8.6 | -22 |
2020年11月 | 179 | 1 | 208 | 11.8 | 0.92 | 235 | 13.0 | -27 |
2020年12月 | 192 | 1 | 351 | 18.0 | 0.85 | 383 | 19.4 | -32 |
2021年1月 | 200 | 1 | 447 | 20.8 | 0.82 | 481 | 22.5 | -34 |
2021年2月 | 204 | 1 | 499 | 21.2 | 0.80 | 533 | 23.2 | -34 |
2021年3月 | 201 | 1 | 457 | 17.9 | 0.82 | 491 | 20.0 | -34 |
2021年4月 | 209 | 1 | 577 | 20.9 | 0.78 | 609 | 23.2 | -32 |
2021年5月 | 219 | 1 | 737 | 24.7 | 0.75 | 763 | 27.4 | -26 |
2021年6月 | 219 | 1 | 737 | 23.0 | 0.75 | 763 | 25.9 | -26 |
2021年7月 | 225 | 1 | 845 | 24.6 | 0.73 | 865 | 27.8 | -20 |
2021年8月 | 229 | 1 | 921 | 25.2 | 0.72 | 936 | 28.5 | -15 |
2021年9月 | 234 | 1 | 1021 | 26.2 | 0.70 | 1028 | 29.8 | -7 |
2021年10月 | 225 | 1 | 832 | 20.2 | 0.73 | 856 | 23.7 | -24 |
2021年11月 | 242 | 1 | 1206 | 27.7 | 0.68 | 1193 | 31.6 | 13 |
2021年12月 | 231 | 1 | 953 | 20.8 | 0.71 | 968 | 24.6 | -15 |
2022年1月 | 236 | 1 | 1073 | 22.2 | 0.69 | 1074 | 26.2 | -1 |
2022年2月 | 226 | 1 | 823 | 16.3 | 0.73 | 854 | 20.0 | -31 |
2022年3月 | 218 | 1 | 615 | 11.7 | 0.75 | 673 | 15.2 | -58 |
2022年4月 | 229 | 1 | 912 | 16.6 | 0.72 | 931 | 20.3 | -19 |
2022年5月 | 206 | 1 | 268 | 4.7 | 0.80 | 376 | 7.9 | -108 |
2022年6月 | 206 | 1 | 268 | 4.5 | 0.80 | 376 | 7.6 | -108 |
表だと少し分かりにくいので定数買い付け損益($)から定額買い付け損益($)を差し引いた積立損益をグラフにします。
ほとんどの月で定額買い付けが有利であったことが分かります。
やはりドルコスト平均法の定額買い付けは強い。
定数買い付けは定額買い付けに勝てないのか?
さて定額買い付けが優秀なのは分かりました。では定数買い付けをする価値が無いのかというと必ずしもそういう訳ではありません。
積立損益の差をよく見てみると株価が高値をつけている2021年11月は定数買い付けが少し優勢です。
株価が値上がりしている場合は定額買い付けで買える口数が減る分定数買い付けが有利になる場合もあるようです。
(但し投資額が増えているので損益(%)は劣後してしまっています。)
次にコロナショック前の2020年1月からではなく、コロナショック後の2020年4月から投資を始めた場合で
同様に定数買い付けと定額買い付けの積立損益の差を見ると以下になります。
今度は一転して定数買い付けが定額買い付けを圧倒するパフォーマンスを見せています。
どうやら右肩上がりの期間は定数買い付けが有利のようです。
ドルコスト平均法の定額買い付けは値下がりしたときに沢山買えることに妙味があるので
右肩上がりの相場では大きく買うことができず機会損失となり強みが発揮できないんですね。
とは言え右肩上がりが永遠に続くはずも無く、最近の暴落では積立損益が逆転してしまっています。
今度は定数買い付けが高値掴みした状態になったという訳です。
まとめ
基本的にはドルコスト平均法の定額買い付けをするのが安定していそうです。定額なら毎月の投資額をコントロールできますし右肩上がりの相場が続くこともそう無いですからね。
低コストの投資信託を利用すれば効率よく定額買い付けをすることもできます。
一方で積立投資家は長期的な株価の成長を期待して投資をしています。
最後にダウ指数の歴史的推移を見てみます。
(TradingView提供のチャート)
素晴らしい右肩上がりですね。
こう見ると定数買い付けも悪くないと思います(笑)
結局のところは好きなほうで買ったらいいということでしょう。
株価が成長してくれればどちらも幸せになれますので。